山田功先生が本を出版されました

山田功先生が本を出版されました

 恩師山田功先生(物理)が青少年向けに「日本のX線結晶学の祖 寺田寅彦~輝く先見性~」と題した読本を出版されました。当読本は「青少年のための」と付記されているだけあって、難しい用語もなく解りやすく、あたかも高校生に戻って山田先生の授業を受けている様な気分で一気に読み切れる書です。

 1895年にレントゲンがX線を発見した後、ラウエが結晶へのX線照射による斑点模様(ラウエ斑点)の発見により1914年にノーベル物理賞を受賞し、さらにブラッグ父子がX線を用いた結晶構造解析に関する研究により1915年にノーベル物理学賞を受賞したことは知っていましたが、寺田寅彦がラウエの論文を読みX線結晶構造解析の理論を組み上げ、ブラッグ父子と同様の考えをほぼ同時期に発表していたこと、日本のX線結晶学の祖であったこと改めて認識しました。寺田寅彦の研究の概要をはじめ、波特有の現象(回折、干渉)についての説明があり、日本の物理学者、随筆家、俳人など様々な顔を持つ寺田寅彦の一面を知る良い書物です。

 本書内の余談として「X線めがね」についても触れられており、私が小学生だった頃に電燈にかざした手を「赤い羽根」を通して覗いた際にみえる、あたかもレントゲン写真の様な自分の手に感動したことを思い出しました。本書には付録として「X線めがね」が付いています。山田先生がネットで羽根専門店から取り寄せた羽根を用いて製作されたとのことです。光の回折・干渉という現象を身近に体感できるとても良い教材となっています。皆さんも、一度手に取ってみては如何でしょうか?

本書は山田先生が撮影された写真や、同じく春日井高等学校の恩師豊永利英先生(国語)の描かれたコミカルな挿絵が多く掲載されており、光の回折・干渉の現象を理解する上の一助となっていることも見逃せません。

本書を手にしたい方は、ご一報ください。山田先生から本書を複数冊、預かっており、先生のご厚意により差し上げます。

 

著者:山田 功
発行者:寺田寅彦記念館友の会 〒780-0915 高知市小津町4-5
印刷所:ウエルオン 名古屋市千種区千種2-1-28
現在:寺田寅彦記念会館友の会副会長
   中谷宇吉郎雪の科学館友の会幹事
著書:『教科書に掲載された 寺田寅彦作品を読む』(リーブル出版)
   『寺田寅彦「藤の実」を読む』(窮理社)共著

〈文責〉2組 鷲見 章