先日(2026/08/18)、山田功先生(物理教諭)の御宅を訪問しました。山田功先生は寺田寅彦研究の第一人者で、寺田寅彦に関連する書物を何冊か執筆しており、寺田寅彦記念館(高知県高知市小津町4-5)友の会の副会長を務められています。山田先生は現在84歳ですが、時間があれば近所の公園に出かけ、様々な植物、昆虫、鳥類を追いかけて生き生きした自然をカメラに収め、またある時は霧箱を自作し、宇宙線の捕捉(軌跡)を写真に収めるなど、精力的に活動されています。今回山田先生宅を訪問し、蝋管蓄音機(1877年にトーマス・エジソンが発明した円筒形の記録媒体「蝋管(シリンダー)」を使って音を録音・再生する初期の蓄音機)を見せて戴きました。再生音はやや聞きづらい様に感じましたが、山田先生の声の一部が再生されており、感動的でした。
寺田寅彦は「蓄音機」と題した随筆を発表しています(大正11年4月)。寺田寅彦が中学3年か、4年生だった頃、初めて蓄音器に接した様です。その随筆によると、文学士が蓄音器を携えて実験をするので講堂に集まれと校長に言われ、寺田寅彦も参加したその当時の様子が描かれています。その文学士は蓄音器の歴史から簡単な原理構造を明快に説明した後、吹き込みラッパに向かって驚くような大きな声で「ターカイヤーマーカーラア」(尋常小学唱歌「高い山」:作詞者未詳)と歌を吹き込みます。講堂のそこここからクスクス笑いをする不謹慎な人も居た様ですが、歌い終わった文学士が発声用の振動膜とラッパを取り付け、器械を作動させると、今の歌が抑揚、強弱を含め、かなり忠実に再生されたので、講堂の中から感嘆な声が湧き上がった事を克明に記しています。
山田先生はその寺田寅彦が味わった感動を再現するために蝋管蓄音器(学研の付録?)を入手されて、何本かのロウソクに声を録音し嬉々とされ、今度は身の回りの材料を用いて蝋管蓄音器を自作したいと意気込んでみえました。

Fig.1 蝋管蓄音器(全体像)

Fig.2 蝋管蓄音器(背面)

Fig.3 蝋管蓄音器(音声を録音したロウソクの装着状態)
文責:鷲見 章(2組)